任意後見制度のメリットと留意点
任意後見制度は、本人の意思を尊重し、本人が契約によって自由に契約内容を決めることができる制度です。
この自由度が高いことから、法定後見制度にはないメリットがありますが、いくつか注意しなければならない点もあります。
任意後見制度のメリットについて
- 信頼できる方に支援してもらうことができます。
- 任意後見制度は、本人が自由に契約内容を決めることができる制度です。
したがって、本人が信頼できる方を任意後見人にすることができます。 - 任意後見人の資格には制限がなく、親族、行政書士などの法律の専門家、福祉の専門家に依頼することができます。
- 支援してもらう内容を本人が決めることができます。
- 任意後見制度は、本人が自由に契約内容を決めることができる制度ですから、判断能力が不十分になった後も、本人が希望する生活を送ることができます。
- あらかじめ、任意後見人になる方と、どのように財産管理をしてもらうか、また、療養・介護についての希望などについて打ち合わせをしておき、それらを契約事項としておくことで、本人の意思を尊重した支援を受けることができます。
- 任意後見契約書は公文書です。
- 任意後見制度を利用するには、「任意後見契約に関する法律」によって、任意後見契約書を公正証書の形式で作成する必要があると定められています。
このように、任意後見契約書は法律の専門家である公証人が作成する公文書となります。そして、この任意後見契約書は公証役場にて原本が保管されます。 - また、任意後見契約書の契約内容は、法務局で東京法務局に一括登記されるため、任意後見人の地位も公的に証明されることになります。
- 任意後見人が円滑に後見事務をすることができます。
- 任意後見人は、任意後見契約に基づいて事務を行います。
したがって、任意後見人は周りから疑いや誤解を受けることなく、財産の管理をすることができます。
前述のとおり、任意後見人は登記されていますので、その地位を証明することも容易です。 - 任意後見監督人が選任され、受任者の代理行為を監督します。
- 任意後見契約は、本人の判断能力が不足したときに、さらに任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申し立てて、任意後見監督人が選任された時点に効力をもちます。
任意後見人は、この任意後見監督人に定期的に事務の内容を報告する必要があり、家庭裁判所は任意後見監督人を通して任意後見人を監督することになります。
このようにして、受任者である任意後見人が代理権を濫用することを防止します。
任意後見制度を利用するにあったての留意点について
- 本人の判断能力があるうちに契約を結ばなければなりません。
- 任意後見契約は、支援を受ける委任者の判断能力が十分あるうちに、任意後見人になることを引き受けた任意後見受任者との間で、後見事務の内容を決めておく契約です。
- このように任意後見契約は一種の委任契約ですから、本人に契約を交わすことができる十分な判断能力があることが必要になります。
- 本人の判断能力が低下してしまった場合には、その低下度合いによって、「後見」「保佐」「補助」の法定後見制度を利用することになります。
- 本人の判断能力が十分あるうちは、任意後見制度を利用することはできません
- 任意後見制度は、本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、任意後見監督人が選任されたときに、はじめて事務が開始されます。したがって、本人の判断能力があるうちは、身体能力が低下しても任意後見契約は効力がありません。
- このような場合に備えて、判断能力があるうちから事務を行える、財産管理等の委任契約もあわせて結んでおくとよいでしょう(移行型の任意後見契約)。
- また、任意後見制度は判断能力が低下した場合に備える制度ですから、判断能力が低下することなく亡くなられた場合には、利用されることなく終了します。
- 本人の判断能力の低下を把握するのが困難な場合があります。
- 本人が一人暮らしの場合や同居の親族以外の方が任意後見受任者である場合には、本人の判断能力が低下したかを把握することが困難な場合があります。
このような場合に備えて、見守り契約を結んでおくとよいでしょう。 - 任意後見人には、取消権がありません。
- 法定後見制度を利用する場合、後見人や保佐人・補助人には、一定の行為につき取消権が与えられています。
しかし、任意後見人には取消権が与えられていません。
したがって、本人が不必要な商品をよくわからず購入してしまった場合、当然にすぐ取り消すことはできません。
本人が浪費を繰り返すなど、どうしても取消権が必要な場合には、法定後見を申し立てることも可能です。 - 任意後見人が権限を濫用することがあります。
- 任意後見監督人による監督があっても、任意後見人が権限を濫用することはありえます。当たり前のことですが、くれぐれも信頼できる方を選任することが大切です。
また、信頼できる方でも、多額の借金を抱えている方の選任は避けた方がよいでしょう。 - 任意後見人と任意後見監督人の報酬が発生します。
- 任意後見人として、親族等を選任する場合は、無報酬とすることが多いでしょう。
しかし、行政書士などの法律の専門家、福祉の専門家に依頼する場合には、報酬が発生します。
また、任意後見監督人の報酬も同じく発生します。
当事務所では、任意後見契約書の作成の他、財産管理委任契約、見守り契約などについてもサポートしています。
高齢期に備えて、どのような制度を利用したらいいのかわからない
任意後見制度を利用できるように備えたいが、何から始めたらいいのか
財産管理等の委任契約のことをよく知りたい
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